診断と治療の鍵「下顎安静位」とは

    生理的下顎安静位とは

    生理的下顎安静位は顎の力を抜いて「あご」を楽にしたときの下顎の位置です。
    もっと正確に言えば下顎が最も楽な時の下顎と頭蓋との位置関係です。

    それに対して歯がかみ合っている時の下顎と頭蓋に位置関係は下顎が最も楽な位置関係かどうかは分かりません。この位置は歯がかみ合うことによって決められる位置なので習慣性咬合位と呼ばれていますが、この位置が顎を支えて動かしている筋肉にとって辛い位置であれば、<「あご」の違和感>として自覚されます。あるいは周辺の筋肉の緊張が高まって<首筋や肩こり、頭痛>などの症状となって現れます。

    これはTMDの大本の原因なので、が楽な頭蓋に対する位置である下顎安静位を探してそこで下顎を安定にさせてあげると、顎の周辺の筋肉の緊張がとれて次に全身の筋肉が楽になっていきます。

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、診断と治療の鍵「下顎安静位」

    上の写真は、頭痛や背中の痛み、目の奥の痛み、不眠、倦怠感などを訴えて来院された患者さんの初診時の口腔内写真です。これは普段患者さんが自然に噛んでいるかみ合わせなので習慣性咬合位と呼んでいます。
    この状態を見ただけでは噛み合わせのどこに問題があるのか分かりません。そのため診断も治療方針も立ることはできません。

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、診断と治療の鍵「下顎安静位」

    上の写真はオーソシスを装着した写真です。透明な素材で作ってあるので見えにくいかもしれません。
    この装置を食事中以外は使ってもらうったことで、3カ月で背中の痛みはほとんど気にならなくなりました。眠りも改善されて頭痛も軽くなました。
    この顎位を維持するためにはオーソティックをいつまでも使い続けるわけにはいきませんので、将来、矯正と補綴治療が必要になります。

     

    下顎安静位はどうやって探すか?

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、診断と治療の鍵「下顎安静位」

    下顎がトルクのために変位させられないようにするためには下顎安静位でオーソティックを作って下顎位を安定させなければなりませんが・・・・
    そのためには下顎安静位を見つけなければなりません。

    下顎安静位を見つけることが出来なけらば筋肉の緊張を効果的に緩和するためのオーソティックをつくることはできません。
    下顎安静位を探すためにはただ単に患者さんに「あご」の力を抜いてもらうだけでは十分ではありません。それだけでは深いところで過度に緊張した筋肉を安静にすることはできないからです。

    深部の過度に緊張した筋肉を安静にするためには低周波TENSという装置を使います。
    TENSとは経皮的神経電気刺激装置というもので、皮膚の上に貼った電極から咀嚼筋を支配している神経に電気刺激を送って筋肉を繰り返し収縮させて安静に導く装置です。

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    低周波TENS(マイオモニター)の効果

    低周波TENSは周波数の非常に少ない(1分間に40回)の弱い電気刺激で筋肉を刺激して収縮させる装置です。筋肉を定期的に自分の意思とは関係なく不随意的に一定時間収縮させることを繰り返すと次のような効果が期待されます。

    • 筋肉の緊張緩和
    • 筋肉の血液循環の改善
    • リンパ液の還流促進
    • エンドルフィン効果

    この中でとくに筋肉の緊張緩和という作用は下顎安静位を見つけるために欠かせない機能です。
    その他にもマイオモニターには下顎の安静位をピンポイントで決定するために必要な決定的な役割があります。

    →低周波TENS(マイオモニター)について、詳しくはこちら

     

    下顎の安静位の位置を正確に測定するしくみ

    下顎安静位の位置をできるだけ正確に把握することが治療を効果的に進めるためのカギを握っています。
    細かいところを正確に見るためにルーペを使うように、「あご」の位置を正確に把握するためには専用の装置を使います。この装置の原型は50年も前に開発されていて一部の歯科医によって長年使用されてきております。

    現在世界中で使われているものは、7回目のバージョンアップをへてきたK7というものですが、下顎位を特定するという目的以外にも顎運動機能の異常の有無を調べて診断に役立てることにも使われています。

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、診断と治療の鍵「下顎安静位」

    上の図は下顎安静位を特定する時に使用するK7の画面ですが、習慣性咬合位と下顎安静位の位置関係を示しています。
    同一画面上で横から見た図と前から見た図が十分の一ミリの精度で表示されていますので、この画面上で下顎安静位を特定してその位置を記録するための咬合採得を行うことができます。

    このようなことは患者さんのお口の中を何時間肉眼で眺めていても知ることは出来ませんし、勘と熟練で行うこともできません。テクノロジーの力を借りることではじめて可能になりました。

     

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