顎関節症

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、顎関節症の治療

    あなたは顎関節症がなかなか治らないので悩まれていませんか?
    そのような悩みを抱えている方はたくさんいらっしゃいます。
    顎関節症がなかなかな治らない理由は簡単です。
    顎関節症の原因をきちんと理解して適切な治療が行なわれていないからです。
    顎関節症の原因は非常に単純で以前から広く知られています。
    しかしその原因を取り除くための効果的な治療法は一部の臨床家の間でしか行われていません。
    原因をきちんと理解して適切な治療を行えば顎関節症を根本的に治すのはそれほど難しくはありません。
    ここではなかなか治らない顎関節症で悩んでおられるあなたのために,顎関節症を根本的に治す方法をお教えします。

     

     

    顎関節症の症状とは?

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、顎関節症の治療

    まず顎関節症とはどんな病気であるかということから確認していきましょう。
    それには顎関節症の症状にはどんなものがあるかを知ることが大切です。
    あなたが今苦しんでいらっしゃる症状について理解を深めるために重要だからです。
    顎関節症の症状には次のようなものがあります。

    1. 口を開けたり閉めたりするたびに音がする
    2. 「あご」の辺りが痛む
    3. 固いものを咬むことが痛くてできない
    4. 口が大きく開けない
    5. 口が曲がって開く

    あなたにはどの症状が当てはまりますか?

    顎関節症にはもう一つの重要な特徴があります。 それは顎関節症は顎関節だけでなくその他の部位の症状をともなって現れるということです。

    例えば顎関節症を患っている人は同時に肩こりや首筋の痛み、頭痛、顔面のこわばり、目の奥のいたみ、場合によっては不眠や倦怠感、イライラや意欲の低下などなどさまざまな原因不明の不快な症状が随伴症状としてあらわれることがあります。
    これらの症状は顎関節症と共通する原因から発しているため、顎関節症が解決すると同時に解消することがあります。

     

    顎関節症で苦しんでいる人々

    顎関節症で苦しんでいる人はもちろんあなただけではありません。
    以前Yahooの知恵袋で悩み相談の回答者をしていた時にそこに寄せられた顎関節症で苦しんでおられた方への回答をしたことがありますが、そのうちのいくつかを紹介させていただきなます。
    悩みを訴えてこられた方の切実な苦しみを知ることで、深い共感を得ていただけると思います。

     

    相談1.顎関節症になってからとても頭が痛く働ける自信がなくなりずっと家で休んでいます

    私は顎関節症になってからとても頭が痛く働ける自信がなくなりずっと家で休んでいます。
    ですが誰とも関わらずこのままではいけないと思い転職活動を始め、内定をもらった会社があるのですが、やっぱり調子が悪く行ける自信がありません。
    歳は今年26でとても焦ってしまいます。結婚相手も見つからないし、働くしかないのかと思うのですが、無理してでも働くべきでしょうか。無理しすぎて体が悲鳴をあげそうな感じです。どうしたらいいでしょうか。

    回答

    ベストアンサーに選ばれた筆者の回答

    噛み合わせの異常と顎関節症や頭痛などとの関係についてとくに興味をもって長年治療をしてきた歯科医師です。
    あなたのように頭痛と顎関節症を同時に患う患者さんは珍しくありません。これまでにも大勢診てきました。
    顎関節症の原因と頭痛の原因には共通点があるために両方同時に患う患者が少なくないのです。
    その共通の原因は一口でいうと筋肉の緊張です。あなたが苦しんでおられる頭痛は多分筋肉の緊張からきているものだと思われます。
    頭痛の中で最も多く見られる頭痛に緊張性の頭痛といわれるものがあります。あまり激しくズキズキするような痛みではなく、どちらかというと重苦しい、締め付けられるような鈍痛です。肩こりや首筋の凝りなども同時に現れます。
    もしそうだとすれば筋肉の緊張をほぐしてやると緩解します。一番簡単なのは首から上の血流をよくするための首の運動です。首をグルグル回すような運動をしてみてください。
    もちろんこれだけですべて良くなるわけではありませんが、少なくとも軽くなるはずです。
    もっと根本的に治すためには筋肉を緊張させている原因を取り除かなくてはなりません。
    その原因とは、すぐには信じてもらえないかもしれませんが「下あご」の位置の異常です。
    下顎には多数の筋肉が付着していて、上方では頭(頭蓋)と繋がって下顎を吊り下げるような筋肉があり、下方には頸部や肩と繋がっていて下から顎を支えているような筋肉などが多数あります。
    その中心にある「下あご」の位置が歯のかみあわせの異常によってわずかでもずらされると、付着している多くの筋肉のバランスが崩されて緊張しはじめます。
    ちょうど操り人形を操っている多数の糸のうちのどれかの長さが狂うと人形の動きが不自然になるようなイメージです。
    筋肉は非常に鋭敏な組織なのでわずかな異常にもすぐに反応して緊張します。もちろん精神的な緊張にも反応します。
    それらの筋肉の緊張はすぐ近くの筋肉、たとえば首筋や顔の筋肉、頭の周辺のこめかみや側頭部、前頭部、後頭部などの筋肉にすぐに伝わります。頭が締め付けられるような不快感や顔の筋肉が強張るような不快感として感じられるようになることもあります。
    それだけではなく、「あご」の位置の異常は顎関節の構造的な変化をもたらして顎関節症の正常な動きが出来なくなる原因となります。
    さらにこれらの筋肉の緊張は自律神経の異常による睡眠障害、全身の倦怠感、気分障害なども引き起こし、やる気のなさ、集中力の低下などまともな人間としての活動する能力を奪い、就業することなどできなくなる可能性は否定できません。
    26歳のあなたが焦っておられるのは当然のことですので、何とかしてあげたい気持ちでいっぱいです。
    これらの症状は総合して側頭下顎機能不全TMD(ティー・エム・ディ)とよばれていますが、この名称は我が国ではあまり一般的に知られていません。
    これらの症状(症候群)は下顎の位置の異常を正常化することでほとんどの場合改善します。
    治療法はありますので、希望を失わずに頑張ってください。

     

    相談2.顎関節症で悩んでいます。

    1週間前の朝起きると顎があけにくくなり、むりやり開けようとするとすごい音のクリック音が鳴りました。痛みもあります。
    2日たって音は小さくなりましたが、食事をしてしばらく食べ物を噛んでいると、ガリッという音がして顎が開けにくくなったり(しばらく開け閉めするとだんだん治ってくる)、夜寝るときに仰向けや右向きで寝るとまた顎が開けにくくなったりしています。 先週から2回ほど歯医者に通ってマウスピースをもらい、昨日から寝るときのみつけています。
    今日半日過ごしてみて、マウスピースをつけたまま仰向けで寝て、顎が開けにくくなることはなかったのですが、食事する時になんとなくまた顎が開けにくくなりそうな感じはまだ残っています。
    このままマウスピースをつける治療をしていて治るのか心配です。特に安心してご飯が食べられないのがかなり苦しいです。
    ちなみに歯科医師の先生には、寝る時に仰向け、右向きで寝ると翌朝顎が開けにくくなること、食事の時にしばらくすると顎が開けにくくなることは伝えました。

    回答

    顎関節症の治療を長年おこなってきている歯科医師です。
    大変分かりやすく症状を説明していただいたお陰で状況をほぼ正確に把握することができました。
    食事をしたり夜仰向けで寝たりすると、ガリッという音がして顎が開けにくくなったりするということですが、これは顎関節の状態を正確に表しています。
    これらの症状は下あご(下顎)が後ろ(奥歯の方向)に後退するために起こります。
    ためしに下顎を前(前歯の方向)に出しながら口を開けてみてください。音もなく楽に大きく口を開けることが出来るはずです。
    仰向けに寝ると自然に下顎が後ろに後退します。そうすると下顎頭(顆頭)という部分が後ろに下がって関節円板というものを圧迫して前方に移動させてしまいます。そうするとそのために口が開けにくくなったり音がするようになります。
    歯医者に通ってマウスピースを作ってもらったそうですが、とてもよいことです。マウスピースは適切に作られると下顎の後退を防いでくれるので症状が悪化するのが避けられます。
    しかしマウスピースはあくまでも症状を緩和して悪化するのを防いでくれるだけで、それで顎関節症が治る訳ではありません。
    一時的な突っかえ棒(スプリント)の役目をはたしているだけですので、それをはずすと再発します。
    根本的な原因は奥歯の高さが低いことにあるからです。その問題を解決しない限り、マウスピースを一生使い続けなければなりません。
    ” 食事する時になんとなくまた顎が開けにくくなりそうな感じはまだ残っています。”ということはそのとおりです。奥歯が低い状態で食事をしていると下顎が後退した状態で顎関節が圧迫され続けるので症状は悪化します。
    ”このままマウスピースをつける治療をしていて治るのか心配です。” とのことですが、この点については治療をしてくれている歯科医にぜひ相談してみてください。
    歯科会では顎関節症の治療法について定まった考え方がなく混乱しています。そのため今わたしがここで解説したような考え方がすべての歯科医師の共通認識になっているわけではありません。
    最後に一つだけ大切なアドバイスをさせてください。口が開けにくくなった時には無理に口を開けようとすることは避けてください。顎を前に出しながら開くようにしてください。顎関節を傷つけないようにすることが出来ます。お大事に。

     

    相談3.顎関節症について。

    23歳の女性です。数日前から左顎の痛みに悩んでいます。
    中学、高校の頃から口を開くときに左の顎のカクッという音が気になりだして、痛みはなかったのですが口腔外科に受診したところ、顎関節症ではないか、ということで赤外線のような温かい光を当てて数回治療しましたが音はなくならず放置していました。
    それで最近突然音が鳴っていた方の左顎が痛み始めました。
    思い当たることは、大きな飴玉を食べたことと、国家試験を控えた受験生のためずっと座って勉強していて肩凝りがとてもひどいことがあります。
    こんなにずっと痛いのは初めてなのでとても怖いです。元々偏頭痛がありますが、顎が痛くなってから毎日頭痛もします。
    何か改善策を知っている方がいましたら教えてください!

    回答(筆者の投稿)

    顎関節症に興味をもって治療をしている歯科医師です。
    顎関節症が再発して前よりもひどい症状がでてきたために、恐怖と不安にかられておられるようですがお察しします。
    中高校生のときは発育途上であったということもあり、温熱療法でとりあえず急性炎症をおさめる治療法が選択されたのだと思います。
    しかしそれだけでは炎症がおさまっても慢性の状態に移行しただけですので、根本的に問題は解決されていなかったのだと思われます。クリッキングが消えなかったことがその証拠です。
    問題が解決されていなかったということは顎関節の内部で解剖学的な構造の変化がそのまま継続していたということです。
    構造の変化とは顎関節のなかでクッションの役目を果たしている関節円板という部品の位置がずれてしまっているということですが、大きな飴玉をほおばって噛んだ際にその位置がさらにずらされてしまい関節円板が傷ついて炎症をおこし、痛むようになったのだと解釈されます。
    急性の炎症がおさまればいずれ痛みは軽くなっていくはずですが、口が大きく開けないという開口障害はしばらく続くことになります。
    根本的な治療法は転移した関節円板を元の位置に復位させることですが、これはなかなかうまくいきません。そのために顎関節症は完治しにくい疾患であるということになっています。
    関節円板の完全な復位は無理だとしても症状をそれ以上悪化させないための応急処置があります。
    それは顎関節にそれ以上圧力を加えないようにして安静に保つために必要な処置ですが、ガーゼか脱脂綿、ティッシュペーパーなどを親指くらいの大きさに丸めて両方の奥歯の上におき、軽くかんでおくという方法です。できれば「下あご」を少し前に出した状態で絶対に強く噛み締めないようにします。
    これを食事が終わったあととか就寝中に行うようにすると、関節の痛みとか開口障害が和らいでいくはずです。
    もしこの応急処置の効果が表れるようであれば、かかりつけの歯科医院でそのことを告げてマウスピースを作ってもらってください。効果的なマウスピースを作ってもらえるはずです。
    顎が痛くなってから毎日頭痛もするとのことですが、顎関節症と頭痛はよく併発します。
    顎関節の内部に異常があると周辺の筋肉が緊張します。そのために肩こりや緊張型の頭痛がおこります。
    また逆に肩こりや首筋の筋肉が凝る(緊張する)と顎関節症も循環障害のために悪化します。そのため首や肩の筋肉を揉み解すような運動をして血液循環を良くするようにしてください。すべての関連する部位の状態が改善するはずです。
    一番よくないのは同じ姿勢を長時間、精神的に緊張した状態で続けることです。リラックスした状態でからだを楽にして適当に動かしてみてください。
    なおマウスピースで顎関節症が改善したとしてもそれはあくまでも一時的な対症療法に過ぎないということを忘れないでください。
    顎関節症の直接の原因は奥歯が低くなって下顎が後ろに下がる(後退)するためですから、最終的には奥歯の噛み合わせを高くして下顎が後退しないようにする治療が必要です。
    以上ですが、これで少しでも楽になっていただければ幸いです。お大事にしてください。

     

    以上の悩み相談に寄せられた内容をご覧になっていかがでしたか?
    これは顎関節症で悩んでおられる方のほんの一部にすぎません。
    これらの相談で共通するところは、いずれの相談者も顎関節症が解決されずに答えを求めて彷徨っておられることです。

     

    顎関節症の原因

    顎関節症の原因は比較的単純で解決に結びつきやすい疾患ですので、あらかじめその原因などをよく理解しておいていただけたらと思います。
    顎関節症は「あご」の関節が捻挫してそれが慢性化したような疾患です。
    ものを噛むときの強大な力によって関節が破壊されたような病気です。人間がものを噛むときの力は、その人の体重に匹敵するといわれています。体重60キロの人は60キロの力でものを噛みます。
    通常はその力はものを噛むためだけに使われて顎関節には及ばないようにできているのですが、その歯止めが効かなくなったために起こった病気です。
    その歯止めの役目を果たしているのは文字どうり奥歯の噛み合わせです。
    奥歯の噛み合わせの高さが低くなると奥歯に掛る力が直接顎関節に向かうために顎関節が破壊されるのです。奥歯が関節を保護する役目を果たしていないために強い力にさらされた結果関節内の構造が変化して捻挫したような状態になるのです。
    下の図はその状態を示しています。

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    上の左の図は顎関節が正常な状態を示していますが、右のCTの図は関節円盤が前方に転移(脱離)した状態を示しています。関節円板は左の図の黄色い部分ですがクッションの役目をしています。
    奥歯が関節を保護する役目を果たしていないと、関節頭(橙色の部分)が右のCTの画像のように後上方に際限なく移動して関節円盤を押しのけて前方に転移させてしまいます。
    これが顎関節症の人の顎関節の中でおこっている構造の変化ですが、このような構造の変化が起こると、関節円盤が関節頭の動きを制限するようになり口が開けにくくなったり、運動の途中で引かっかたりするためにクリック音が鳴ったりするようになります。
    このように関節頭が関節円盤を圧迫して転移させてしまう原因は奥歯の噛み合わせが低い(短い)ために「下あご」が後ろに後退しているためです。
    奥歯の噛み合わせが低いと「下あご」は自然に後ろに後退します。そうすると関節頭はなおさら後上方に移動しますから関節円板を圧迫しやすくなります。しかし奥歯が低いかどうかとか、「下あご」が後ろに後退しているかどうかということはいくら口の中を観察しても分かりません。
    筋肉も顎関節も安静な状態に導いて観察したときにはじめて知ることが出来ます。歯が噛み合っているところをいくら観察してしても分からないのです。
    そのことが顎関節症の診断を難しくして治りにくい病気にしている原因です。
    原因は分かっていても診断が簡単ではないために簡単に治療ができないのです。

     

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    顎関節症の患者さんに「あご」の力を抜いてもらってその時の上下の歯の関係を記録すると、次の写真のように上下の歯は噛み合わずに浮いています。奥歯が噛み合わずに短いように見えます。

    一見不自然に見えますがこれが、これがこの患者さんにとっては楽な「あご」の位置なのです(下顎安静位)。この位置だと顎関節も周囲の筋肉も楽で、緊張のない状態になります。

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    ところが同じ患者さんが、食事などのために奥歯を噛み合わせると、次の写真のように噛み合います。一見正常でよく噛み合っているように見えますが、この位置(咬合位)でものを噛むと、関節頭(前の図の橙色の部分)が上に挙がり関節円板を圧迫して転移させます。

    また上下の「あご」の間を結んでいる筋肉の安静な関係が損なわれるために緊張します。長いあいだには顎関節が痛み、頭痛などさまざまな筋肉症状も出てきて体調が不良になります。

    次の図は下顎安静位での「あご」の学関節の状態を示しています。「あご」の関節は正常で関節円盤も正常な位置にあります。しかし歯の噛み合わせは、奥歯がすいていて噛み合っていません。
    この患者さんにとってはこの顎の位置が楽な位置(安静位)で、顎関節にも周囲の筋肉にも緊張や不快感を感じさせていません。

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    しかし下の図のように無理に奥歯を噛み合わせると、「あご」の関節が圧迫されて痛み周囲の筋肉も安静が乱されて緊張して不快感が症状として出てきます。
    その理由は奥歯のスペースを閉じて無理に噛み合わせることで、顎関節はそのスペースの分だけ矢印の方向に上に押し上げられて関節を圧迫するからです。
    その結果、顎関節の内部でクッションの役目をしていた"関節円板"という大切は"部品"が前方にところてんのろうに押し出されます。

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    そのために口が開きにくくなったり、開閉の度に音がしたり、硬いものが痛くて噛めなくなったりします。
    これが顎関節症の実態で、顎の位置の異常が原因で起こっているということが分かっていただけたと思います。その位置異常は奥歯の噛み合わせが低いことが原因です。奥歯が噛む力を十分に支えて顎関節を保護してくれないために、顎関節に過剰で暴力的な力が加えられてしまうからです。

    下の図は関節円盤の前方転移を起こしている顎関節の解剖的な図です。
    左の図は前方転移が起こった直後のもので、右の図は病態がさらに進行して関節円盤が変性を起こしてしまった状態のものです。

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    このような状態を放置しておくと、やがて関節円盤の一部に穴があいてクッションの役目をしなくなり、骨と骨が直接接するようになります。それと同時に骨の形そのものも変形してしまうこともあります。
    このような状態まで進行したものは変形性顎関節症と呼ばれています。

    そうならないためには顎の位置異常を改善して顎関節に過剰な力が及ばないようにしなければなりません。
    それには正しい診断が不可欠です。この場合の診断とは「あご」の位置異常の有無とその程度を調べることです。それにはいくら口の中を覗いてみても判断することはできません。とくに上下の歯を噛み合わせた状態をいくら観察しても何もわかりません。
    噛み合わせを調べるために、咬合紙を用いて、上下の歯の接触状態を調べることがよくおこなわれていますが、この場合にはほとんど無意味で正しい診断にはまったく結び付きません。原因は"歯の接触状態"とはほとんど関係がないところにあるからです。

    正しい診断のために最も大切なことは、下顎を安静位に導いてその時の顎の位置(安静位)を記録することです。そこで初めて下顎安静位と咬合位との差を知ることができます。
    下顎安静位が分かれば治療はその位置で下顎を支える装置をつくって装着し、顎関節を保護して安静が保てるようにすることです。
    ほとんどの医療機関で顎関節症を正しく診断して治療することができないのは、下顎安静位を調べて記録する技術をおろそかにしているためです。

     

     

    確実な顎関節症の治療法

    4-1.正しい診断の重要性

    正しい診断は下顎の位置を生理的な下顎安静位に導くことで達成されます。そのためには下顎を支えている筋肉の緊張をとって安静にします。確実に筋肉の緊張をとって安静に導くためにはTENSという低周波治療器を使います。そうすることによって筋肉の深いところから筋のリラクゼーションを行なうことが出来ます。さらに「下あご」の正確な位置を求めて記録するためには顎運動計測記録装置を使います。
    このようにして真の下顎安静位を求めることができれば治療はより確実なものになります

     

    4-2.確実な治療関節症の治療

    顎関節症治療の目的は顎関節が痛くなく正常な機能をが営めるようにすることです。
    そのためには顎関節に無理な力が及ばない「下あご」の位置で顎関節が正常に機能できるようにすることです。
    その方法は顎関節にむりな力が及ばない下顎安静位で「下あご」を支えるようにすることです。
    具体的には下顎安静位でその「下あご」の位置を支えるためのマウスピースを作って装着してもらうだけで顎関節を安静に保つことが出来て症状はなくなります。
    下の写真はその装置(オーソティック)を示しています。この場合はオーソティックを下の歯の上に装着しているところを示しています。

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科で、顎関節症の治療

    オーソティックを装着することで奥歯の短いところが補われて下顎が安静位に導かれます。

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    さらに「下あご」が安静位に導かれることで「下あご」の周辺の筋肉の緊張がとれて、首筋や肩の筋肉、頭の周辺の筋肉の緊張もとれて肩こりや頭痛なども改善されます。
    問題はそのあとです。オーソティックを使っている間はこの状態が続きますがオーソティックを外した途端にものの症状が再発します。例えば食事のためにオーソティックを外すとその途端に顎関節に異常を感じます。
    つまりオーソティックを外すことが出来なくなり不自由な生活を送らなければならなくなります。

    オーソティックを外しても再発しないようにするためには、オーソティックを使わなくても下顎安静位で「下あご」の位置が維持されるように、ご自分の現状の歯を改造しなくてはなりません。
    この段階の治療(2次治療)が終了した段階ではじめて顎関節症の根本的な治療が終了したことになります。
    この段階の治療(2次治療)は上下の「あご」の位置関係を作り直す治療なので「咬合再構成治療」といいます。

     

    「咬合再構成治療」には次のようは二つの方法があります。
    • 補綴的交合再構成治療
      臼歯部の歯の長さを増して高さを高くする手段として人口物を歯に被せる(補綴)する方法
    • 矯正的交合再構成治療
      臼歯部の歯の長さを高くする手段として元の歯矯正治療で動かして上下の歯を嚙み合わせる方法

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    顎関節治療の期間と費用

    5-1.顎関節治療の治療期間

    顎関節症症状を改善するまでの初期治療の期間は通常、3~6カ月で終了します。
    そのあとの噛み合わせを治す段階の二次治療は、治療手段によって異なります。
    噛み合わせを補綴的な手段(被せ物)の場合は治療する歯の数などによっても異なりますが半年から1年位が必要です。 歯を動かして上下の歯を不定愁訴が起こらない「あご」の位置で噛み合うようにする矯正治療の場合には2年から5年位が必要です。

     

    3-1.費用の目安

    1. 当院では、一回の治療に費やす時間、治療の難易度、医師の知識と経験、技術力にもとづいて費用を設定しています。
    2. 噛み合わせ治療はかなり高度な治療なので残念ながら保険治療には対応していません。
    3. 治療費については、治療を開始する前に概算をかならずお知らせします。十分に理解し納得されたうえで治療を受けてください。

    3-2.治療費の区分と金額

    項目 内容 価格(税込)

    第1段階の治療

    あなたの筋電計の数値が低くなるような顎の位置を調べて「着脱式の装置」(治療用マウスガード)をつくります。
    ここでの目標は、治療用マウスガードを用いて頭・あご・首・肩の筋肉およびあご関節のネットワークにアクセスし、つらい症状を改善することです。
    治療期間は3~6ヶ月程度、治療回数は3~6回程度です。

    38万5千円
    (3回分の精密な調整料を含みます) 
    4回目以降の調整が必要な場合は別途2万2千円が毎回生じます。

    第2段階の治療

    歯列矯正
    歯に器具を装着して並びを変えます。
    治療期間は6ヶ月~2年程度、治療回数は月に1~2回です。

    38.5万円~220万円

    被せ物治療
    歯を削りセラミックなどで被せ物をします。
    治療期間は6ヶ月程度、1歯につき3回程度。

    1本あたり15.4万円
    (本数によります)

     

    まとめ

    顎関節症の治療はその原因をしっかりと理解して行えば現在では比較的に容易に根本的に治すことが出来る病気になってきております。
    治療がうまくいくかどうかは、下顎安静の意味をしっかりと理解して下顎をその位置に導くことが出来るかどうかにかかっています。

     

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