噛み合わせ症候群とは

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科、噛み合わせ症候群とは

    噛み合わせ症候群とは、歯の噛み合わせの異常が原因で起こるさまざまな不快症状のことです。
    一般的に「顎関節症」と呼ばれている症状もこの中に含まれます。

    その他にも、肩コリや首筋の痛み、頭痛、低気圧接近による不調などさまざまな症状があります。欧米ではこれらの症状を含む疾患の総称を"TMD"(ティエムディ)と呼んでいます。

    ″TMD"(ティエムディ)の原因は、一般的にまだ分からないということになっています。もちろん治療法も確立されていません。
    この病気で苦しむ人はかなりの割合になるのではないかと疑われています。
    噛み合わせ症候群(TMD)の症状は一見すると「嚙み合わせ」とは関係が無さそうな症状が含まれています。そのためそこに共通の原因があるとは考えにくいと思います。そのために学会では一つの原因に絞り込むことができずに、多因子性疾患であることになっています。

    当院ではある有力な仮説にもとづいて治療をしています。その仮説とは、「神経筋機構論」というものです。この説は1967年に、アメリカのシアトルの歯科医、バーナードジャンケルソンによって提唱されました。 当院では、この説にもとづいて治療を行ってきましたが、今では噛み合わせ症候群(TMD)のほとんどの症例が解決可能であると考えています。

    この理論では、TMDの原因は噛み合わせの異常にあると説いています。
    噛み合わせの異常とは、下のあご(下顎)の位置の異常(ズレ)のことです。
    位置の異常(ズレ)とは、歯をかみ合わせて機能することによって筋肉が安静ではない位置にずれてしまうことです。筋肉が安静でいられるのは、関節や「あご」を動かす筋肉に緊張がなく、最も楽(安静)な「あご」の位置にあるときだけなのです。
    つまり関節や筋肉にとって都合が悪い「あご」の位置で無理に機能させられることによって、思わぬ症状が出てくると考えられています。それが原因で「あご」を動かす筋肉や関節に緊張と障害が起きます。顎関節症やさまざまな筋肉症状はこのために引き起こされています。
    また、「あご」の位置の異常は噛み合せ症候群のほかにも、歯の過度のすり減りなど好ましくない影響をもたらします。

    「あご」の位置の異常がもたらす悪影響

    歯とその周辺の組織への影響

    噛み合わせの異常は、歯そのものと歯を支えている歯周組織にも悪い影響をもたらします。歯そのものへの影響としては、歯の異常な摩耗(咬耗)があります。「あご」が異常な動きをするからです。
    歯周組織への影響としては、歯周組織に異常な力が加わることによって歯周組織の破壊が早まります。
    その結果、歯の異常な早期の喪失がもたらされます。いずれにしても「あご」の位置異常のために、適正な「あご」の運動がなされずに歯に好ましくない異常な力が加えられることが原因です。

    本態性歯痛

    本態性歯痛とは、歯科的にいくら調べても原因がわからないのに執拗に歯の痛みを訴える病気のことです。
    これも「あご」の位置の異常からくる関連痛の一つと考えられています。

    義歯などの不調

    「あご」の位置が異常な状態で義歯を作ると、よく噛める義歯を作ることはできません。
    筋肉が最も楽で機能しやすい「あご」の位置で義歯を作ると自然で痛くなく、よく噛める義歯を作ることができます。

     

    噛み合わせ症候群の典型的な症状

    噛み合わせ症候群(TMD)の症状は次のように分類できます。

    • 筋肉症状をおもな症状とするもの
    • 顎関節に関連した症状
    • 自律神経系の異常を思わせる症状
    • 精神障害をともなう症状

    経堂(世田谷区)の歯医者、K.i歯科、噛み合わせ症候群とは

    1)筋肉症状をおもな症状とするもの

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    2)顎関節に関連した症状

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    3)自律神経系の異常を疑わせる症状

    不眠・動悸・息切れ・めまい・倦怠感
    疲れやすい・食欲不振・便秘・生理不順

    4)精神障害をともなう症状

    不安感・焦燥感・イライラ・無気力・落胆
    集中力の減退・うつ・絶望感・引きこもり

    5)その他の症状

    目の疲れ・難聴・耳鳴り・耳詰まり・低気圧接近時の不調・睡眠時無呼吸症(SAS)・本態性歯痛

     

    慢性疼痛患者の特徴
    肉体の痛みが、数日や数週間という短い期間で解決されず、半年やそれ以上長引くようであれば「慢性疼痛症候群」の患者として、失望、落胆、不安感というセラピーが必要なほどの状態に移行します。
    ほとんどの噛み合わせ症候群の患者が"精神科"や"診療内科"に廻されてしまうのはそのためです。噛み合わせ症候群の原因療法がなされないままに精神障害の患者として扱われることに多くの患者が戸惑っているのが現状です。
    "精神障害"こそが噛み合わせ症候群の主要な原因であるという主張もありますが、私たちは別の原因を疑います。

     

    慢性疼痛症患者の苦悩

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    噛み合わせ症候群で苦しんでおられる患者さんのほとんどは、出口のみえない苦痛と戦っています。
    自分が苦しんでいる病気の原因も治療法もわからず、治るあてもない苦痛と戦うのは大変なことです。肉体の痛みが数日や数週間で治る見込みがあれば人はかなりの苦痛にも耐えることができます。

    しかしすぐに治る見込みもなく治療法も不明であるということになると、ほとんどの人は失望、落胆、不安感、絶望などといった強い精神的な感情に襲われます。
    その結果、2次的な障害として精神障害が現れることが少なくありません。この状態は慢性疼痛症候群と呼ばれています。

    これらの患者さんは、愛想がなくなり、その顔付きからは喜びや楽しみを感じにくいのです。家族や友人たちだけでなく、時には医師ですら毎回聞かされる不平や不満にうんざりとしてしまうことがあります。

    診察時間に制限があるような場合には、繰り返し聞かされる不平や不満に適切に対応することはきわめて困難です。その結果、似たような症状をもつ精神病として扱われ、精神科や心療内科に送られてしまいます。医師や家族、知人からも理解されずに社会の外へと追いやられてしまうことになりかねません。

    噛み合わせ症候群で悩む患者の最大の悩みは自分の苦痛がだれからも理解されないということです。ほかの病気とちがって、一見健康そうに見えることが多いので、外見からは病気であるということを気づいてもらえないからです。そのための孤独感にも耐えなくてはなりません。

    慢性の疼痛を抱えていると、職場での人間関係にも影響します。痛みや不快感に気を取られ続けていると他の従業員やスタッフとのやり取りや交流を悪化させてしまいます。そのために仕事を続けられなくなることも珍しくありません。
    休日ですら、痛みから解放されることがないために、家族や友人と楽しく穏やかに過ごすこともできなくなります。

    当たり前のことが自然にできなくなって諦めてしまったり、挫折感や憂うつな感情を払しょくできない状態がながく続くと、絶望感の悪循環に陥って逃れられなくなります。
    そのような状態では、不安のために人生のライフプランもたてられなくなります。
    そのような人生を送ってほしくないと願わずにはいられません。

     

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