低気圧が来ると、めまいと吐き気に襲われていたKさん

      2023/08/01

Kさんは30代の女性で、20年にわたり頭痛そして気圧の変化による体調不良(俗にいう低気圧病)に悩まされてきました。「嚙み合わせ」を調べてみると、「下あごの楽な位置」と「歯が噛み合う位置」にかなりのズレがあることがわかりました。「嚙み合わせ症候群」が疑われる患者さんでした。前歯の見ばえにも悩んでおられたので、歯列矯正を併用した本格的な「嚙み合わせ治療」をいたしました。

 

まずは、治療後にKさんから頂いたレポートをご覧ください。

菊池先生 長期間にわたる「嚙み合わせ治療」、ありがとうございました。あれから半年がたち、違和感もなくなり問題なく過ごせています。 

「嚙み合わせ治療」前に自覚していた不調は、「歯並びが悪い、歯ぎしりをしている、くいしばりをしている、滑舌が良くない、微妙な発音をしている、肩こりがひどい、寝つきが悪くぐっすり眠れない、寝覚めが悪い、いつも顔色が悪い、顔がゆがんでいることの自覚、20年以上の頭痛もち/気圧の変化による体調不良(頭痛、めまい、嘔吐他)により寝込む日が多く日常生活に支障をきたしていた」などでした。以前は常にどこかが悪く、ひどい頭痛と一生付き合っていかなければならないのか…と思っていました。コロナ禍でのマスク生活の中、「嚙み合わせ治療」をすることで完全には無理でも今よりは頭痛が良くなる可能性があると先生がおっしゃっていたことや、前歯の歯並びを含めて少しでも良くなればと思ったことがきっかけで矯正と「嚙み合わせ治療」をお願いしました。  

自分がどんな噛み合わせをしているのか、筋肉の動きがどうなっているのかを調べることからスタートしました。そして、矯正と「嚙み合わせ治療」が終了した現在は

・上記に述べた不調は、頭痛以外はほぼなくなった。

・以前の「嚙み合わせ」がいかにおかしかったか実感している。(例えば食事の際、上手く説明が出来ないのですが、以前であれば変な噛み方をしていたことがはっきりわかるくらい今ではとても自然に嚙むことが出来る。)

・舌、頬の内側を誤って噛むことが一切なくなった。

・一番大きいのが「季節の変わり目による体調不良が、数時間横になれば良くなる程度の頭痛のみで寝込む日がなくなったこととイライラがなくなった」ことです。矯正治療と「嚙み合わせ治療」をお願いして本当によかったです。以前は気圧の変化による不調は仕方がないものと割り切っていましたが、噛み合わせが少しでもおかしいとどこか不調をきたすことを身をもって理解できたので、結果的に大変満足しています。 

これからも定期的に検診を受けていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。(*一部を省略しています。)

Kさんといくつか似た不調をお持ちの方には参考になる内容かと思います。

ポイントは2つです。1つ目は、Kさんがご自身の不調の状態を把握されていたこと。さらに、「嚙み合わせ」もしくは「嚙み方」に不具合があることにも気づかれていたことです。2つ目は、当院でカウンセリングを受けられ、説明に納得され、その上で治療することを決断されたことです。

「嚙み合わせ症候群」の治療は患者さんと私たちの共同作業ともいえます。患者さんの不調はことばで表現されます。私たちは患者さんのことばから「嚙み合わせ」治療に使うための情報を取り出していきます。そして、患者さんの骨格や筋肉や顎関節の特徴をデータと照らしながら把握して、その方の「嚙み合わせ」の個性(特殊性)を明らかにするのです。それは、不調の根本原因を探ることにつながります。Kさんの場合は、前歯の見ばえの問題を解決するために歯列矯正から始めました。その後、「嚙み合わせ」の治療に入りました。

「嚙み合わせ」治療の初めの段階では、その方に合った(無理のない)新たな「嚙み合わせ」の姿を浮かび上がらせていきます。「嚙み合わせ」の基礎となる下の「あご」の位置の情報を仮歯というリアルなかたちに替えていきます。仮歯にはその方に必要な「嚙み合わせ」の情報が加えてあります。つまり、「嚙み合わせ」のシミュレーションといえます。仮歯には「あご」の位置の情報をベースとして、筋肉や関節がリラックスして動けるための情報が形として与えられます。「嚙み合わせ」が整ってその方に適した形となった一本一本の歯は、全体の歯並びとしてみても調和のとれた状態で、身体に良い影響を及ぼしてくれます。

「嚙み合わせ症候群」の治療が一般的な咬合調整とはまったく異なる点があります。それは、上記の仮歯の段階までは、その方の歯を削らずに逆に低くなってしまった部分に盛り足すことによって治療がなされることです。さまざまな不快症状が改善したことが確認できた後でなければ歯を削る治療はするべきでないと考えています。削った歯はもとに戻せないからです。歯科医は歯を削ることには慣れています。しかし、その逆の治療(盛り上げる治療)を経験することはまれです。なぜなら、削る調整は1~2本で済むことが多いのですが、盛り上げる治療では多くの歯に同時に盛り上げる必要が生じます。そのためには、多くの盛り上げる場所と量を正確に割り出す必要があります。さらに、肉眼ではとらえきれない複雑な「あご」の動きは計測機器で調べることになり、「あご」の筋肉と顎関節内部の状態を同時にモニタリングするという煩雑な治療に精通する必要があるからです。

今回のKさんの劇的な症状の改善はこうして成し遂げられました。骨格・筋肉・神経・関節その他が織りなすネットワークから、身体に有害なノイズのような要素を取り除くことができたからです。これはKさんの協力なくしてはかないません。Kさんのご協力に感謝する次第です。

 

 

次に、実際の治療です。Kさんの場合は奥歯に欠損があったり被せ物が多いため、矯正治療は上下の前歯を揃えることに限定しました。前歯の矯正治療を終えた後に「あご」の楽な位置を見つけました。じつはここが治療の最初の山場であり、治療の成否を左右します。

 

次のスライドは歯の情報をマスキング(キャンセル)してから、「あご」の筋肉と関節を楽にしたのちに「あご」がスムーズに動かせる出発点を探り当てたときのものです。歯と歯が嚙み合っていない(左側)ことがわかるでしょうか。ズレ方はさまざまで、不快な症状もそれぞれです。

右側 「下あご」が前に出ている 「下あご」が傾き、センターもズレている 左側 上下の歯が離れ、「下あご」が前に出ている 

 

歯を嚙み合わせた位置では・・

 



 

以下、順次追記します。(2023.07.13)

 



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