噛み合わせや顎関節症は何科を受診すればいい?

      2023/07/28

顎関節症で悩んでおられる方は多くいるといわれています。
しかしながら顎関節症に対応して効果的に治療している医療機関は非常に少なく、治りきらない方々が見受けられます。
その最大の原因は顎関節症の根本的な治療法が未だに確立されていないことにつきます。
正確にいうと顎関節症の原因と診断については画像診断技術の進歩により40年以上前から確立していたのですが、それにもとづいた確実な治療方法の技術が確立して普及していないともいえます。
そのために再発しないように根本的に解決することのできる医療機関は少なく、対症療法的な治療でお茶を濁すことがあります。
ここでは顎関節症をとりまく現状と効果的な治療法、そのような治療に取り組んでいる全国の医療機関をご紹介します。

 

顎関節症の治療はどこで?

現在顎関節症の治療はさまざまな医療機関で行われています。
それぞれの医療機関での顎関節症の治療の現状を私見をまじえて解説させていただきます。

 

1-1.一般開業歯科医院

顎関節症はおもに一般歯科、口腔外科、大学病院の口腔外科などで治療していますが、特に関心をもって熱心に取り組んでいるかどうかは大きな差があります。
一般の歯科の開業医のなかには顎関節症の治療に全く関心がなく、できれば関わりたくないと考えている歯科医は少なくありません。
その原因としては顎関節症の確実な治療法が確立していないために学校教育で十分な教育がなされていなかったためではないかということが言えると思います。
そのために顎関節症の治療について確実に治せるという自信をもって積極的に取り組もうとする歯科医師はあまり多くはいないのです。
顎関節症の治療には社会保険診療が適用されているので、ほとんどの開業医は保険診療の制約の範囲内で治療をしています。
保険診療には一定の制約がありますので、その範囲内での治療には限界があります。
その範囲内での治療ではせいぜい症状を改善させるまでの治療が限界です。
保険診療の制約の範囲内では再発しないようにするための根本的な治療までは望むことに無理があります。
そのことも顎関節症の治療について根本的に治すために積極的に取り組もうとする歯科医師がほとんどいないことの理由の一つと思われます。
以上のような状況ですので顎関節症の治療に熱心な歯科医師を個人的に探すよりも、かかりつけの歯科医院で顎関節症の治療に熱心に取り組んでいる医療機関を紹介してもらうことをお勧めします。

 

1-2.大学病院、基幹病院の口腔外科

一般的に顎関節症の治療は口腔外科(こうくうげか)が担当するということになっています。
歴史的に顎関節症の治療は外科手術が有効であるとされた時期があったために、口腔外科が担当するようになった経緯があります。今でも顎関節症の治療で外科手術が必要なこともありますが、それが万能であるとは限限りません。
顎関節症は関節の中にあってクッションの役目をしている関節円板という部分がずれることでおこります。
関節円板がずれるとそれが口の開閉をさまたげるために口が開かなくなるのですが、(顎関節内障クローズドロック),口腔外科ではこれを手術ではなく徒手的に治療する方法がおこなわれています。
その方法は関節腔洗浄療法、パンピング・マニピュレーションとよばれている手法ですが、口が開かなくなった患者さんの口を比較的短時間で開かせることができます。
これは口が開かなくなったときに用いられる手法ですが、関節円板がずれた原因をとり除かなければもとに戻って再び口が開かなくなります。
残念ながらこれも対症療法の一つということになります。

 

1-3.代替医療

整体、カイロプラクティス、鍼灸、整骨、接骨院 などがあるが、いずれも体の歪み,姿勢のバランス、体の筋長緩和などを中心に施療しています。
一時的に症状が改善されることはありますが、永続的な効果は望みにくいということがいえます。
やはり、対症療法的な効果に終わることが多いようです。

 

顎関節症の原因と根本的な治療法

顎関節症を根本的に治すためには原因を知ってその原因を根本的に取り除かなければなりません。
原因を根本的に取り除くことが出来なければいずれ再発してしまうのは明らかです。
顎関節症の原因ははっきりとしているので、根本的に治療することはそれほど難しいことではありません。

 

2-1.顎関節症の原因

顎関節症は「あご」の関節が捻挫しているような状態であるということができます。
顎関節に強い外力が加わったために顎関節が捩れたような状態になり、そのために炎症をおこしているために痛くなったり、口が開かなくなったりします。
ちょうど膝の関節が足を捩じったり、急に大きな力が加わると炎症をおこして痛んだり歩けなくなったりするのと同じです。
顎の関節は急に暴力的な力が加わったり、継続的に力が加わり続けたりすると関節の中にあるクッションの役目をしている関節円板という部品がずれてしまったり擦り減ったりして穴が開いたりすることがあります。
そうするとスムースに口を開けたり閉じたりすることが出なくなり、食事もしにくくなります。
膝の関節にも半月板というクッションのような役目をするものがあり、それがすり減ったりすると痛くて歩けなくなります。
「あご」の関節の障害にも膝の関節の障害にも共通していることがあります。それは一種の力による外傷であるということです。
膝の関節に加わる外傷の元となるものは体重ですが、顎の関節の場合に加わる力は咬む力です。
咬む力は非常に強大でその力はその人の体重に匹敵する程の力が加わると言われています。
膝の場合も顎の関節の場合にも、普段はそのような強い力が及ばないようにする仕組みがあります。
膝の場合には膝の周りの筋肉が膝を保護して強い力が及ばないようにしていますが、筋力が衰えてくると膝関節に負担がかかるようになってきます。
そのために筋肉のかわりにサポーターなどをして膝を保護しなければならなくなります。
「あご」の関節の場合には、「あご」の関節を保護して過剰な力が及ばないようにしているのは奥歯の噛み合わせです。
しかし奥歯がすり減ったりして高さが低くなったりすると顎関節に過剰な力が加わるようになります。
下の図は奥歯が低くなったところを示しています。

上の図の状態で奥歯を下の図のように咬み締めると、右の図のように関節円板 (図のピンクの部分)が押し出されてずれてしまいます

その場合にはマウスピースなどで奥歯の高さを補うと一定の効果があります。

 

2-2.顎関節症の根本的な治療法

顎関節症の原因については奥歯の高さが低くなることが原因であるということを説明してきましたが、それなら治療法は奥歯の高さを高くしてあげればよいわけです。
奥歯をの高さを高くする方法としては一番簡単なのは奥歯の高さを補うためのスプリント、またはマウスピースと呼ばれる装置を作って装着してもらう方法です。
そうすると奥歯が顎関節を圧迫する力が遮断されるために顎関節に害が及ばなくすることが出来ます。

上の図はスプリントの一種であるオーソティックを下の歯の上に装着してもらっているところを示しています。右端の図のように奥歯の低いところの高さを補っているために顎関節が圧迫されることが防止できます。
この装置を装着することで顎関節症の症状は一時的に緩解させることができます。しかしこの装置の使用をやめるとその途端に症状は再発します。
使用を中止しても再発しないように根本的に治療するためには、ご自分の元の歯の高さを高くする治療が必要になります。
その方法には二種類あり、ひとつは歯に被せ物などをして高くする方法と、矯正治療で歯を長く伸ばして高くする方法があります。
そのどちらを選択するかはその時の状況によって判断します。

 

顎関節症治療の期間と費用

3-1.顎関節治療の治療期間

顎関節症症状を改善するまでの初期治療の期間は通常、3~6カ月で終了します。
そのあとの噛み合わせを治す段階の二次治療は、治療手段によって異なります。
噛み合わせを補綴的な手段(被せ物)の場合は治療する歯の数などによっても異なりますが半年から1年位が必要です。 歯を動かして上下の歯を不定愁訴が起こらない「あご」の位置で噛み合うようにする矯正治療の場合には2年前後が必要です。

 

3-2.費用の目安

  1. 当院では、一回の治療に費やす時間、治療の難易度、医師の知識と経験、技術力にもとづいて費用を設定しています。
  2. 噛み合わせ治療はかなり高度な治療なので残念ながら保険治療には対応していません。
  3. 治療費については、治療を開始する前に概算をかならずお知らせします。十分に理解し納得されたうえで治療を受けてください。

3-3.治療費の区分と金額

項目 内容 価格(税込)

第1段階の治療

あなたの筋電計の数値が低くなるような顎の位置を調べて「着脱式の装置」(治療用マウスガード)をつくります。
ここでの目標は、治療用マウスガードを用いて頭・あご・首・肩の筋肉および「あご」関節のネットワークにアクセスし、つらい症状を改善することです。
治療期間は3~6ヶ月程度、治療回数は3~6回程度です。

38万5千円
(3回分の精密な調整料を含みます) 
4回目以降の調整が必要な場合は別途2万2千円が毎回生じます。

第2段階の治療

歯列矯正
歯に器具を装着して、咀嚼筋や顎関節に負担のない並びに変えます。
治療期間は6ヶ月~2年程度、治療回数は月に1~2回です。

38.5万円~220万円

被せ物治療
歯を削りセラミックなどで被せ物をします。
治療期間は6ヶ月程度、1歯につき3回程度。

1本あたり15.4万円
(本数によります)

 

顎関節症治療に取り組んでいる全国の歯科医院

顎関節症を根本的後戻りしないように治療されることを希望される方のために、ここで紹介させていただいた治療法と同じ方法を採用している医療機関をご紹介します。
下記の学会のホームページにアクセスして学界の会員名簿からお近くの会員を探して連絡をしてみてください。
国際顎頭蓋機能学会の日本部会 http://www.iccmo-jp/
ここでご紹介した考え方に賛同して集まった歯科医師がお互いに情報を交換しながら研鑽している学会です。
この学会は国内だけでなく海外の学会の下部組織なので国際的に情報の交換を行ってより良い治療法を追及しています。

 

まとめ

顎関節症を根本的かつ再発しないように治療するためには的確な診断と妥協のない治療が欠かせません。 そのことについてもう少し詳しくお知りになりたい方は当院のHPも参照してください。 →顎関節症について

 



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